2025年10月6日
【修理事例】BMW R1100RS(1997年式)|時価額18万円に対し68万円で修理を実現した交渉と部品調達の実際

■ 事故状況:信号待ちで突然の追突

今回ご依頼いただいたのは、**BMW R1100RS(1997年式/型式259 RS/ベルリン工場製)**にお乗りのお客様。
事故は信号待ちで停車中の出来事でした。

  • 後方から日産キャラバンが追突
  • 衝突はおそらく右後方から
  • 衝撃でハンドルが左に切れ、そのまま前車には接触せず道路左側フェンスに衝突
  • 最終的にライダーとともに右側へ倒れる

幸い、前車への二次衝突は免れましたが、車両には大きな損傷が発生しました。


■ 初期見積りと保険会社の提示額の乖離

当社での初期見積もり金額は108万円
一方で、相手保険会社が提示したのは時価額18万円でした。

旧車や輸入車では、こうした「時価額と実際の修理費の乖離」は珍しくありません。
今回はお客様のご希望で修理を行う方向となり、交渉の結果、特約超過を利用して時価額+50万円=68万円まで認められることになりました。


■ 特約超過とは?

「特約超過」とは、相手保険の契約内容に付帯されている場合に限り、
事故解決をスムーズに進めるため、時価額に加えて上限50万円までの修理費を認める制度です。

ただし、この制度を使う場合は実際に修理を行うことが必須条件
今回はまさにこの制度が活きたことで、修理費用の一部が認められ、修理継続が可能となりました。


■ 部品供給の壁と修理の工夫

BMW R1100RSのような旧車・輸入車は、部品供給が最大の課題となります。

  • 純正部品の本国取り寄せ:入庫まで2〜3か月かかるものもあり、特にウィンカーは長期待ち。
  • 外装・キャリアボックス:新品をすべて揃えると予算オーバーになるため、程度の良い中古を入手し、リペア+塗装で仕上げ。

こうした工夫により、修理コストを抑えつつ、時間の制約にも対応しました。

修理期間は最終的に約4〜5か月に及びましたが、その間もお客様がバイク生活を続けられるよう、当店からレンタルバイクを無償でご提供。相手保険からレンタル代が出ない期間についても当店で負担し、安心して修理完了をお待ちいただける体制を整えました。


■ 修理内容の概要

修理にあたっては、特に外装や走行に関わる重要部分を重点的に対応しました。

  • 外装一式
  • リアボックス
  • タンデムバー
  • エンジンヘッド
  • テール
  • ウィンカー

痕跡を完全に消すには初期見積り(108万円)の内容が必要でしたが、今回は68万円の中で見た目・安全性を確保する実用的な修理を実施しました。


■ 修理後の状態

修理完了後、車両は安全に走行できる状態まで復旧。
ただし、全てを新品で揃えたわけではないため、わずかに痕跡は残る形となりました。

「旧車を維持する」という観点からすれば、修理コスト・納期・保険交渉のバランスをとった最適な着地点だったといえるでしょう。


■ 今回の事例から学べること

  1. 旧車・輸入車は時価額が低く算出されがち
     → 見積りと交渉が極めて重要。
  2. 特約超過があれば修理可能性が広がる
     → 保険の内容確認は必須。
  3. 部品供給には長期化リスクがある
     → 中古・リペア・塗装で柔軟に対応することも必要。
  4. 修理中の代車サポートも安心材料
     → 当社では保険会社の制約を超えて柔軟に対応可能。

■ まとめ

今回のBMW R1100RSの修理事例は、時価額と修理費用の大きな乖離をどう乗り越えるかという点で象徴的なケースでした。

非現実的な「時価額18万円」で泣き寝入りするのではなく、特約超過の利用と交渉によって68万円分の修理を実現
さらに、部品供給の壁を中古リペアや塗装で乗り越えることで、実用的な修理完了に至りました。

旧車や輸入バイクを愛用されるライダーの方にとって、保険交渉と修理対応は特に難しい課題です。
「修理は難しい」と諦める前に、ぜひ当店へご相談ください。